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written by Masatetu Akimoto

【BUTTER】 あの事件の裏側が見える?


                   *書評ではないのでネタバレはありません。

                   


この物語のどこが面白いかというと、


Point 「首都圏連続不審死事件」2009年に起こった結婚詐欺/殺人事件の真相を独特な角度で仕上げたオマージュストーリーに酔いしれる

交際していた3人の男性を殺害したとして死刑判決が確定した木嶋佳苗死刑囚

当時、彼女の姿態、要望は数多くのワイドショーで取り上げられ、世の男性は不可解極まりない思いをした。6件の不審死と7件の詐欺行為の容疑で逮捕された木嶋佳苗という人物の容姿が、不細工極まりなかったからです。


木嶋佳苗、当時34歳の異業が最初に発覚したのは2009年8月6日に東京都千代田区の会社員男性がレンタカーで不審死したことによります。


死因は練炭による一酸化炭素(CO)中毒でしたが、男性と婚活サイトで知り合って交際していた木嶋死刑囚が捜査線上に浮上し、そこから、東京都青梅市の会社員の53歳男性が自宅で練炭によるCO中毒で死亡、千葉県野田市の80歳の男性家事により死亡していたことが発覚しました。


嶋死刑囚は、「かなえキッチン」なるブログで、「美味しいもののお取り寄せが趣味」と男性遍歴をセレブ女性を装って公開していました。


本作品は、この食通の視点をクローズアップしながら、主人公が木嶋死刑囚のモデルとなっている女のまやかしに翻弄される様が描かれています。


まずは、作者紹介からいたしましょう。


柚木麻子(ユズキ・アサコ)

1981年、東京都生れ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほかの作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』『マジカルグランマ』などがある。


本作を含め、過去5回の直木三十五賞候補になっている。


振り幅の広い正確の登場人物を描写し、物語に深みを盛り込む作風が同年代の女性を中心に共感を受けている。


彼女の代表作といえば、

ランチのアッコちゃん】 2015年


TVドラマ化された、女性の上司との関係を通して成長していく主人公を「ランチ」というテーマを通して紡いでいく成長物語です。


基本的には、元気な明るい主人公が、紆余曲折ありながら、目的を持って成長する様が心地よく、等身大の女性主人公を描くことが上手な作者だとわかります。本作もランチのアッコちゃんを彷彿させるような「食べ物」を通した描写が心地よいです。


∽∽∽∽ コメント ∽∽∽∽

この小説は、バターを使った料理が数多く出てきて、食指が伸びますが、その実、男性を食い物にしてきた殺人者を扱った物語。その陰部を明るい食事と照らし合わせた描写に重ぶかさを感じます。∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


さて、心地よい登場人物を簡単に紹介しましょう。


梶井真奈子(カジマナ):三件の殺害容疑で逮捕された女。服役中。モデル:木嶋佳苗 町田里佳(リカ:恋人からはマッチー):主人公。週刊誌で働く30代の女性記者。獄中の

                   カジマナを追う。

誠(マコト):リカの恋人

伶子:リカの親友。リカを救うために奮闘する。

篠井通信社の編集委員でリカの良き理解者。リカに自分のマンションを提供する。


この物語は、目で読み進め、舌触りで濃厚に味わう。


ランチのアッコちゃん」では、女性上司の指示で主人公が命令されてランチを食べに行くと行った様を描いていましたが、この物語でも、カジマナの指示に操られる如く食べ物にたどり着く。


もともと痩せぎすだったリカは、バターたっぷりの食を堪能するうちに、次第に脂肪をまとっていく。つまりは、モデルになった木嶋佳苗に少しずつ近づいていく様が描かれます。


バター醤油ご飯

塩バターラーメン

たらこスパゲティ


どの料理も、もうそれ以外考えられなくなるくらいに洗脳される描写です。


そして、太っていること、いくことが罪ではなく、愛されるために必要な条件であるようにも洗脳されます。


まるで、木嶋佳苗本人が行っているように受け止めてしまいます。

そして、リカはカジマナと弟子と師匠のような関係になっていくのです。


その二人の関係を危惧したリカの親友の伶子が物語に絡んできます。しかし、彼女は救世主という役割ではなく、やがて伶子も里佳も、人生の局面を迎え乗り越えていきます。


柚木先生が得意な女性の成長物語とは違った、成長というよりはブレイクスルーする物語でしょうか。


物語として何度も登場する「ちびくろサンボ」が懐かしい。

アメリカでの黒人公民権運動の高まりと連動して黒人差別であるとの批判を受けるようになり、1988年に絶版する事態となった作品です。


複数のトラが木の周りをぐるぐる回って最後はバターになってしまうという不理解な物語が、BUTTERを通してカジマナに翻弄される主人公の姿に照らし合わされ興味深いです。


そんな中で、クライマックスに向かって、モデル木嶋佳苗よろしく、カジマナもリカの関わる週刊誌のライバル誌の男性記者と獄中結婚をします。


この事実に合わせた物語展開も、木嶋佳苗という妖女、木嶋佳苗を表しながら理解できない存在として狂気じみています。


最後は、リカが新しいステージに進み、七面鳥を焼いてみんなで食べる場面が描かれていますが、何ともお腹にたまるような充足感が湧き出ます。


Point 太った不細工な女が何故、結婚詐欺? 女性に対する偏見がそこにある。食材や食事一つにしても正解があるわけではない。人生も同じ

都内のおいしいものを食べ尽くし、それだけではあきたりず全国から名品を取り寄せて着々と胃袋におさめていました。365日、おいしい何かを食べているといっても過言ではありません。

反面、自己意識を曲げたくなく、主張の感情は自分を焚き付けていきます。



だから、

まとめ 「首都圏連続不審死事件」2009年に起こった結婚詐欺/殺人事件の真相を独特な角度で仕上げたオマージュストーリーに、物事の多面性を知る

木嶋死刑囚は、都内のおいしいものを食べ尽くし、それだけではあきたりず全国から名品を取り寄せていたそうです。まるでそれが使命のように食べるといったように見えます。


終始グルメ三昧。一日あたりの食費が軽く1万円を超えていたそうです。食費もそうですが、摂取カロリーも推定3000キロカロリーと成人女性の標準摂取量をはるかに超えていました。


木嶋死刑囚も、何かに洗脳され食べることのために男を犠牲にしていった狂人だったのかもしれません。



美しい、美しくない。美味しい、不味いはすべて主観のもの。

大切なのは、自分がどこにいて、何のためにそれをしているのかをよく知ることです。


さて、この物語、あなたは読んでみたいと思いましたか?

⁂ -合わせて読みたい- ⁂

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